『プロのためのLinuxシステム・10年効く技術』

プロのための Linuxシステム・10年効く技術 (Software Design plus)

プロのための Linuxシステム・10年効く技術 (Software Design plus)

「プロのためのLinuxシステム・10年効く技術」を献本いただきました。

ひとことで表すなら、「経験の隙間を埋める濃密な一冊」です。

非常に密度が濃いのできちんと読み込めていない部分はありますが、私にとっては非常にためになる一冊でした。
私自身、勉強と実益のために自宅でLinuxサーバ運用管理しており、大抵のことはわかっているつもりでした。しかし、いかんせん体系的に学んだ訳ではないので、自分では気づかないところで抜けがあったりします。

冒頭でも述べられている通り、本書は「経験ある先輩エンジニアから現場で役立つ知識を教えてもらう」といった形式で記述されています。
筆者の実体験にもとづいているので、単なる知識ではなく「現場で直面する問題に対して、知識をどう生かすか」といった視点で書かれているのが本書の大きな特徴です。
本書を読了したとき、私は著者がまるで目の前で様々な経験を話してくれ、そこから自分が知らなかったことを数多く学べた、そんな気持ちになりました。
また、随所のコラムで書かれている「学びに」対する考え方や姿勢については、私も共感するところが多くありました。

「プロのための」と銘打たれているとおり、本書の主な対象読者はある程度経験を積んだ中〜上級者になります。また、内容に網羅性があるわけでもありません。しかし、初学者の方でもパラパラと目を通しておくだけで、現場で困った時に「あっ、そういえば、あの本に似たようなことが書かれていたかも」と振り返ることができるのではないでしょうか。

以下、各章のサマリと感想を紹介します。

第1章 知らないと損するぞ! 押さえておきたいLinux内部構造

普段何気なく利用しているLinuxの裏側を紹介。ディスク管理、プロセス管理、メモリ管理といったOSの根幹を理解できます。

第2章 マシンがないとは言わせない! 仮想化でここまでできるインフラ環境構築

クラウド全盛の時代、より気軽にサーバを利用できるようになりました。しかしエンジニアたるもの、その屋台骨となっている仮想化の仕組みを押さえておきたいところです。本章ではサーバ構築・運用の「素振り環境」として、KVMを利用した「メール配信システム」や「HAクラスタシステム」の具体的な構築事例を説明しています。

第3章 10番勝負!自作スクリプトでコマンド活用

サーバ運用時に必須となるシェルスクリプト。リファレンス本や解説書は数多く出版されていますが、本章では筆者の現場経験に基づいた実用性のあるシェルスクリプトを題材として、シェルスクリプト作成のテクニックを説明しています。

第4章 最後の砦! カーネルソースを読む

Linuxカーネルソースのビルド手順に始まり、膨大な量のカーネルソースをgrepコマンドを駆使して読み込んでいくための方法が紹介されています。個人的に面白かったのは、7月1日に4年ぶりに追加される予定の「うるう秒」のLinuxにおける処理方法をテーマにしていたところです。

第5章 一歩先を行く! RHEL6新機能の総まとめ

RHEL6の新機能を紹介。RHEL6はまだ使用していなかったのですが、cronの実行方法など身近なところで大きな変更が加わっている点が新鮮です。

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