自由と責任

たまには真面目な話を。

今日になって、こぞって成人年齢を18歳に引き下げるかどうかの議論が報道されている。この議論はなんか違和感を感じるんだよね。

ニュースを見てると、発端は憲法改正に関する国民投票法の年齢が18歳以上とされたことで、「じゃぁ18歳、19歳は成人じゃないのに憲法改正に投票できていいのか?」というところが議論の焦点になっているよう。

わたしは18歳引き下げに反対だけど、この議論は今の若者の問題点の本質からはずれているような気がする。

肯定派の主要意見としては、「若者の自立性を促す」というメリットをあげているが、ニュースの街頭インタビューの様子を見ていると、「大人とはなにか」という問いに、大半の人はまともな答えをしてないので、「実際はそうはならないのでは?」 と思うのだ。

現実問題として、今の18歳〜19歳はほとんどが学生のはず。なんだかんだいっても、年齢に関係なく学生の間は大きな責任を求められない。責任を求められるのはいつからかというと、社会に出て働き出してから。

仮に成人年齢を引き下げたとすると、現実的には大して責任を取ることのない人々に対して「喫煙」、「飲酒」、「賭博」、「財産処分」・・・等、成人のメリット(自由)だけが与えられることになる。責任の伴わない自由はただの「身勝手」であって、自立にはつながらないと思うんだけど、どうだろう?

ちなみにうちの会社の新卒採用は大卒が基本なので、入社時の年齢は一番若い人で22歳。現実的にはここからが大人。このくらいの年でもまだまだ幼いなぁ、と思う人が多いわけで、そんな状況で成人年齢をさらに引き下げてもあまり意味がないように思えるのだ。

人口統計の労働力率というやつをしらべたら、2000年の男性で以下の通り。

15〜19歳 17.4%
20〜24歳 70.2%
25〜29歳 92.1%

やはり大半の人が20〜24歳の間に社会に出るわけで、成人年齢の引き下げで「成人」になる人々の8割以上は社会に出ていない。


多くの法律が年齢ではなく「成人」かどうかで差をつけているようなので、成人年齢を変えると多くの法律が影響を受けてしまうので大変、というのも問題なのだろうが、社会が複雑化している現在、一律な線を引くのではなく「○○権は20歳から」「××権は18歳から」とか、柔軟に見た方が良いと思う。(逆に、少年犯罪の厳罰化はやっぱりやったほうがよいでしょう。モラルが狂ってます)

もちろん、18〜19歳で年齢以上にしっかりした人もいるわけで、そういった人々にとって、わたしの意見ははた迷惑きわまりないかもしれない。でも、意欲と能力のある人には、自立をサポートする特別な制度を作ってあげればよいのでは、と思うのです。

中身のない議論を繰り返すくらいなら、個々の法律について成人の線引き見直す議論と、若者の自立支援をサポートする仕組みについてもっと議論する必要があるのでは? 税金たくさん払ってるんだから、そのくらい働いてくださいよ。国会議員のみなさん。

#・・・なぁんて書いてる自分はもうおやじ、ってことか・・・